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(ちょっとした休憩時間に読めます)
動物好きの元飼育員、ぬんピヨです!
世界では「まさか、そんなことが!?」と驚くような動物ニュースが次々と飛び込んできます。
今回取り上げるのは、ケニアで撮影された 「観光客がゾウにビールを与える動画」。
SNSで拡散されると瞬く間に炎上し、「絶対に許されない行為だ」と非難が殺到しました。
この記事では、この映像がなぜ炎上したのか、そして「ゾウにビール」がいかに危険なのかを、元飼育員の視点も交えて分かりやすく解説します。
ーこの記事を読むとー
ーこんな人におすすめですー
- 動物ニュースを面白く、かつ真剣に学びたい人
- SNSで見かけた「ゾウのビール動画」の真相を知りたい人
- 野生動物との関わり方について考えてみたい人
それでは早速、炎上した「ゾウにビールを与える動画」の内容と、その危険性を見ていきましょう!
観光客がゾウにビールを与え炎上した経緯
問題の動画が撮影されたのは、ケニア中部ライキピア州にある「Ol Jogi(オル・ジョギ)保護区」。
ここは数百頭のゾウを含む多くの野生動物を保護していることで知られる施設です。
動画に登場したのは「ブパ(Bupa)」と呼ばれる成熟したオスのゾウで、1989年のジンバブエでの密猟危機から救出され、この保護区で長年暮らしてきました。
観光客が冗談半分でゾウにビールを与える
映像には、観光客がケニアのビールブランド「Tusker(タスカー)」を口にした後、残りをゾウの鼻へ直接注ぎ込む様子が映っていました。
ゾウはそのまま鼻でビールを吸い込み飲んでしまう姿を見せ、周囲からは笑い声も上がっていたといいます。
この動画は当初(2024年)、Instagramに「Just a tusker with a tusked friend(タスカーと牙のある友達)」という冗談めいたキャプション付きで投稿されました。
元の投稿者の動画は一度削除されていましたが別のユーザーが転載することで拡散され、
- 2025年の観光シーズン
- 動物保護団体・当局の再声明
- SNSでの再拡散
などの理由により再度「バズったニュース」として世界的に話題となりました。



バズった動画が拡散される中、SNSでの反応はどうだったのでしょうか?
SNSでの反応をまとめた内容を見ていきましょう。
観光客の声やSNSにより炎上
公開後、この動画は急速にSNS上で拡散しました。
X(旧Twitter)では瞬く間に拡散され、コメント欄には数千件を超える反応が寄せられ、Instagramのリールでも数万件規模でシェアされるなど、国際的な話題に発展しました。
軽いコメントとしては、
- 「面白すぎる」
- 「ゾウが酔っぱらったらどうなるの?」
といった冗談めいた声もありました。
しかし、それ以上に目立ったのは厳しい批判です。
- 「動物虐待だ」
- 「絶対に許されない行為」
- 「観光客のマナーが最低」
といったコメントが圧倒的に多く、特にX上では批判的な投稿が大半を占めていました。
さらに、海外メディアも一斉に取り上げました。
The Sun や NY Post、People などの大手ニュースサイトが「不適切で容認できない行為」として報道し、この映像は国際ニュースへと発展しました。
保護区や当局の対応
今回の件を受け、ケニア国内では観光客によるマナー違反に対する罰則強化の必要性が議論され話題になりました。
ケニア野生生物局(KWS)の声明
ケニア野生生物局(KWS)は、
「野生動物へのアルコール提供は重大な違反行為であり、決して容認できない」
と強い非難を表明しました。
また「動物の健康に深刻な影響を及ぼす可能性がある」と警告し、必要に応じて法的措置を検討する方針を示しています。
Ol Jogi保護区の立場と再発防止策
映像が撮影されたOl Jogi保護区も、
「観光客による無責任な行為は保護活動を損なう」
と遺憾の意を示しました。
ガイド体制や観光客への教育を強化、そして再発防止に向けた取り組みを進めていくとしています。
今後は野生動物への接触や飲食物の提供を禁止する規則を明確化し、違反時には罰金や入園制限を科すなど、より厳格な規制が検討される可能性があります。
なぜゾウにビールを与えるのは危険なのか?
私達が生活する中で日常的に飲むことも多いビール。
そんなビールですが、動物に与えるとどのようなことが起きるのでしょうか?
ここからはゾウの体への影響を中心に解説していきます。
アルコールの影響でゾウの体に及ぼすリスク
ゾウは体が大きいからといって、アルコールに強いわけではありません。
人間と同じようにアルコールは肝臓で分解されますが、野生動物はその代謝機能が人間ほど発達していない場合も多いです。
そのため、個体によっては少量でも健康被害を引き起こす可能性があります。
具体的な健康被害として、
など人間で起こる症状がゾウでもが起きる危険があります。
特にゾウは巨体で力も強いため、もし酔った状態で暴れれば、人や他の動物に被害が及ぶ恐れもあります。
野生動物への人間の飲食物の危険性
アルコールに限らず、人間の食べ物や飲み物は動物にとって有害になるケースが多々あります。
- 砂糖
- 塩分
- 人工甘味料
- 香料
など、人間が日常的に摂取している成分でも、動物にとっては中毒や消化不良、内臓障害の原因となりえます。
また、一度でも
「人間の食べ物=美味しい」
と学習してしまうと、野生動物が人間の生活圏に近づきやすくなり、結果的に人と動物双方に危険をもたらす行動につながることもあります。
元飼育員が語る:人間の嗜好品を動物に与えてはいけない理由
私は動物園で飼育員として働いていた経験がありますが、驚いたことの一つとして
「人間の食べ物や飲み物は決して動物に与えてはいけない」
ということを知らずに来園し、そのまま自身が持っている嗜好品を与えるお客様が少なからずいらっしゃったことです。
知らないお客様からすると「少しくらいなら大丈夫では?」と思われがちですが、動物の体は人間と同じようにできているわけではありません。
「糖分・塩分・カフェイン・アルコール」など、私たちが普段の生活で口にしている成分は、動物にとっては有害となるケースが多いのです。
また、与える側は、
- 「面白い」
- 「かわいい」
と思って行為に及ぶことがほとんどですが、その一瞬の行為が動物の健康を害し、長期的には命を奪うことにつながることもあります。
飼育の現場でも、
動物に与える食べ物はすべて獣医師の監修のもとで決められており、飼育員が自分勝手に人間の嗜好品を与えることは絶対にありません。
そのくらい「食べ物・飲み物」は動物にとって繊細で、適切に管理されるべきものなのです。
今回の「ゾウにビールを与える行為」は、単なる悪ふざけでは済まされません。
人と動物が共に安全に暮らしていくために、まずは
「人間の嗜好品を動物に与えない」
という基本的なルールを守ることが欠かせないのです。
まとめ:ゾウにビール事件が示す教訓
今回の観光客がゾウにビールを与えた映像は、SNSで拡散され大炎上しました。
一見笑い話に見える出来事ですが、実際には動物の健康を脅かす危険な行為であり、ケニア野生生物局や保護区からも強い非難が寄せられています。
炎上の背景には、観光客の軽率な行動、SNSによる瞬間的な拡散力、そして動物保護団体や当局の強い批判が重なり、国際的な議論へと発展しました。
問題点としては、
- 「動物の健康を脅かす危険性」
- 「人と動物の関係性を損なう深刻な問題」
が挙げられます。
元飼育員の視点からも、人間の嗜好品は動物に決して与えるべきではありません。
「かわいい」「面白い」と思った一瞬の行為が、命や共存を脅かすことにつながるのです。
今回の一件を通じて、私たちは
「人間の食べ物や飲み物を動物に与えない」
という基本的なルールを改めて確認しました。
このシンプルな行動こそが、人と動物が安全に共存する第一歩なのです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!