札幌市の民間動物園・ノースサファリサッポロが2025年9月30日に閉園したのをご存じでしょうか?
現在も約319頭の動物が園内に残り、その行き先が決まらないことが大きな課題となっています。
本記事では、
- 動物たちの現在の状況と今後の見通し
- 他の動物園が受け入れをためらう理由
に焦点を当てて解説します。
この話題を通して、私たちに何ができるのか一緒に考えていきましょう。
ノースサファリサッポロ閉園の経緯
札幌市の民間動物園で、2005年に開園したノースサファリサッポロ。
動物との距離が近いことで人気でしたが、2025年9月30日に閉園することになりました。
閉園となった経緯を説明すると、
- 建物の建設が認められない市街化調整区域にありながら、飼育施設などの建物を次々と無許可で動物園内に増築していた
↓ - 2025年2月に市から、違法建築物をすべて撤去せよという法的強制力のある除却命令が出された
↓ - 園は動物を飼ったままでは工事も進まず営業もできないため、閉園せざるを得なくなった
という流れで現在に至ります。
閉園の理由を聞いての反応
園の土地を売った男性
近くに住む人
来園者
と全体的に無許可で建てたことに対する否定的な意見が目立ち、飼育されている動物を心配する声も上がりました。
閉園後の対応
現在も100棟以上残っている建築物があり撤去ができていません。
理由は「動物が中にいて、動物の受け入れ先もないので動物の移動ができない」ため。
昨年12月の約640頭から半減し、9月時点では319頭が園内に残っています。
今後の対応として
「動物の健康や安全に配慮しつつ移動させ残った動物についても適切に飼育する」
と説明しました。
また、2029年末までに全ての建物を撤去する方針を示しています。
残された動物と受け入れ先問題
閉園後、残された動物達はどうなるのでしょうか?
現在まで残っている動物は、他の動物園への受け渡しは難しく、今後も一定期間は同じ土地で飼育が続く可能性が高いです。
その理由は、全国の動物園が共通とする「種の保存を目的としない動物の受け入れは困難」という考え方が大きく影響しています。
多くの動物園は対応できない
丸山動物園(札幌)、旭山動物園(旭川)、釧路市動物園、おびひろ動物園といった 北海道内の主要な公立動物園 は、ノースサファリの動物を受け入れていません。
そもそも動物園は…
「種の保存」という、野生で絶滅する恐れのある動物や、様々な動物の血統を絶やさないように守り増やしていく
という大きな目的を軸に運営・活動しています。
日本の動物園では、野生から捕獲して動物を入れるのではなく、全国の動物園が協力して繁殖させることによって種を増やしてきました。(特に特定動物)
「繁殖を行い種を増やす」という正当な理由以外での動物の移動は、輸送リスクやコスト面、動物へのストレスが大きくなることから控えることが多いです。
今回、ノースサファリサッポロの動物の受け入れでは、「種の保存」という目的から外れています。また、長期的な繁殖計画のある園はそちらを優先することから、多くの動物園が消極的な動きとなっているのが現状です。
元飼育員の考えること
ニュースを聞いて最初に思ったこと
動物園で働いていた身として、最初に感じたのはやっぱり残された動物たちのストレスと行き先の心配でした。
閉園したあとは、人は仕事を辞めて次へ進めますが、動物たちは自分で行き先を選べません。
もし移動先が決まっても過ごしてきた環境が急に変わることは、動物にとって大きな負担になります。
動物にとって「移動」は簡単ではない
園内で獣舎を引っ越すだけでも、動物は不安から食欲が落ちたり隠れたりすることがあります。
トラックに乗って長距離を移動するとなれば、
- 慣れない檻
- 揺れ
- 騒音
- 気温の変化
などが重なり、さらに大きなストレスです。
私が飼育員をしていた頃も、新しい個体を別園から受け入れた際は、しばらく警戒して食事を取らない動物がいました。
それほど環境の変化は繊細に感じ取ってしまうのです。
人の事情で動物たちが振り回されている
今回のノースサファリの件では、違法な建築や閉園といった人の都合で動物たちが移動しなければいけなくなっています。
飼育員としては「飼い始めた動物は最後まで責任を持つ」というのが基本です。これは一般の家庭であっても動物園であっても同じです。
どんな理由があっても、動物を最優先で考えてほしいと強く感じました。
まとめ
ノースサファリサッポロの閉園は、無許可で建物を増築したり除却命令が話題となりましたが、
今回は動物たちの置かれている立場や受け入れ先について焦点を当て取り上げました。
- 短期的には「無理に急がず、今の場所で安全に落ち着いて過ごさせる」こと
- 長期的には「それぞれの種に合った施設にゆっくり移す」こと
が望ましいと私は思います。
この話題を通して、最後まで責任を持って動物を飼うことの大切さを考えるきっかけになってほしいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!